特別インタビュー

解明!石津さんの疑問5

「なぜ若くして議員という職業を選んだのか」、「埼玉県出身でありながらなぜ小平市で議員をしているのか」、「議員という仕事は実際どうなのか」など石津はるかにまつわる様々な疑問を小平市在住のクリエイターにインタビューを通じて解き明かしていただきました。

目次

1.なぜ若くして議員という職業を選んだのか

—本日は聞き手を務めさせていただきます。ウェブサイトを見に来てくださった方に代わって、石津さんにまつわる様々な疑問をクリアにしていけたらと思います。最初にお聞きしたいのは、なぜ若くして政治家になったのか、という点です。政治家というと年配の方のイメージがあります。石津さんと政治の接点はどこにあったのでしょう—

そうですね、一番最初に政治家という仕事を知ったのは、小学5年生のときです。私は動物が本当に大好きで、家の近くにある動物園によく通っていました。夏休みになると、そこで飼育係の方と仲良くなり、いろいろと話すようになったんです。ある時、その飼育員さんが『今かわいがっているこの子たちも、増えすぎちゃうと殺されちゃうんだよ』と話してくれたんですね。

その言葉を聞いたとき、私は『どうして命があるのに殺されるんだろう』と疑問に思いました。そこで、最初は獣医さんになればいいのかなとか、いろいろと考えました。でも飼育員さんに『獣医さんでも救えない命があるんだ』と言われたんです。その言葉を聞いて、『じゃあ飼育員さんになればいいのか』と思いましたが、それでも解決できないと感じました。

その後、調べていくうちに『法律で動物の命が左右されている』ということを知りました。殺処分が法律で定められていることに気づいたんです。そのとき、『制度やルールそのものを変えなきゃいけない』と思い、それを実現できるのが政治家だと知りました。それが政治家を意識し始めた最初のきっかけといえるかもしれません。

—まさに動物の殺処分の問題は、目の前の動物を救っても問題の根本は解決しませんからね。こういう社会の歪みを正せるのが政治家であると。こういう問題はさまざまなところにあるのではないでしょうか—

一度つまづいたらやり直しづらい社会、という点もその1つです。例えば不登校や就職失敗などです。私自身も、中学のときに不登校になった経験もしています。そのとき、学校に行けない自分が苦しくて、でも『行かなきゃいけない』と言われる中で、同じように苦しい思いをしている子が他にもたくさんいるんだろうなと感じました。その後、就職が上手くいかずに派遣社員になったときにも、同じように感じました。派遣で登録している人たちも、正社員になりたいけどなれないという現実がありました。1回正規のルートから外れちゃうと戻るのが難しい問題があると思います。こういう部分を含めて、社会の歪みを直していけるのは政治家しかない、という思いを強くしました。

2.埼玉県出身でありながら、なぜ小平市で議員をしているのか

—私を含めて皆さん疑問に思っていることの1つに、なぜ石津さんは埼玉県のご出身でありながら、小平市で議員をしているのかという点があると思います。こういう立候補は生まれ育った場所でするもの、という先入観があるのですが、石津さんと小平市はどういうつながりがあるのですか—

私と小平市の関係を話すうえで、欠かせないのが日本政策学校での学びです。ここは授業も政党の垣根を超えて、次世代の若い政治家を育てようとする志あふれる政治家や専門家の方々に講義していただきました。政治家になるためのテクニックを学ぶというのではなく、社会の課題がどういうものがあるのか、を体系的に学んだうえで、自分がどんな政策を提案したいかを考え、政策としてカタチにしていく本質的なものでした。学校の活動の1つとして、「政策コンテスト」があり、ここで自分たちで調べたことを提案する貴重な機会もありました。

こうした学びの延長戦として、日本政策学校の仲間たちと、若い人たちの政治への関心を高めるための独自のイベントを企画したんです。企画したメンバーの住んでいる地域の現役の議員をお呼びしてワークショップを開くような内容だったんですが、この取り組みに共感し、協力してくれた議員が当時の小平市議会議員の方々だったんです。

この議員のうちのおひとりから「こだいらオクトーバーフェスト」というビールを通じて地域を盛り上げるイベントを企画するのだけど手伝ってくれないかと誘われました。私がビールを大好きなのをご存じでしたので。

若い力でビールを通じて地域を盛り上げ、還元するイベントに関わるとなれば、いやおうなしに小平という地域を調べました。どんな歴史があって、どんな課題があって、どんな人が住んでいるのか。調べて知って、そして目の前の地元メンバーの熱量や地域への愛、そしてイベントに来てくださる市民の方々の温かさが心に深く沁みました。一方で、素晴らしい人たちがたくさんいて、利便性も良い地域なのにそれを生かし切れていない印象もありました。抱えている課題を解決して、もっと良い街になって、誰もが活躍できるモデルケースの街であると全国に発信できるまちにしたい、という思いで、小平市議会議員選挙に立候補しました。

3.石津はるかが考える小平市の課題とは何か

—政策学校の学びで小平市議会議員とつながり、そこからこだいらオクトーバーフェストで実際に小平に触れながら感じた問題意識が市議会議員選挙における公約につながっていくわけですね。石津さんが考える小平市の課題とその解決に向けて何をすべきなのか教えてください—

小平市が抱える課題としてはまず財政の硬直化です。財政の問題は、一般の市民には非常にわかりにくい部分が多いのですが、これは根本的な問題だと考えています。お金の使い方をしっかりと見直し、どこにどれだけの予算を割り振るべきかを考えることが、今後の小平市の未来を決める重要なポイントだと思います。

その解決策として、私は企業誘致や人口の定住促進が必要だと考えています。小平市にはまだ企業や人を呼び込むポテンシャルがあると感じています。例えばスタートアップ企業やIT系の企業を積極的に誘致し、新たな雇用を生み出すことで、地域経済を活性化させることができると思います。また、若い人たちがこの街に住み続けたいと思えるような環境づくりが重要です。

具体的には、デジタル技術の活用が大きな鍵を握っていると考えています。デジタル化を進めることで、行政サービスの効率化を図り、市民の生活をより便利にすることができるはずです。小平市はまだデジタル化が進んでいない部分が多く、ここに力を入れていく必要があると感じています。

動物との共生については、私が政治家を目指す原点でもあったテーマですが、この数年で小平市における地域猫・保護猫活動は大きく進展しました。他の地域から問い合わせが来るほどです。ただ、動物との共生の問題は慈善活動のような簡単な問題ではなく、予算を割くことに対して、街の環境問題の改善にもつながる点を地域の皆さんからの理解を得ながら進める必要のあるデリケートなテーマなのです。最近では小平市でも取組みが進みつつありますが、まだすべての地域で十分な対策ができているわけではありません。地域ごとに異なる課題やニーズがあり、それに合わせた対応が求められます。この分野で、ぜひ小平はモデルケースになれるように取り組んでいきたいと思っています。

4.政治家の仕事は実際どうなのか

—市議会議員の仕事は年に4回ある議会に出るだけという楽な仕事のイメージを持っている人もいるかもしれませんが、実際はどうなのでしょうか—

ご指摘の通り、拘束される時間だけを考えたら議会への出席で年間100日もないですし、4年間それでいいんだって割り切っている人がいたとしたら、その人にとっては楽な仕事かもしれませんね。そもそも、議員は何かを指示されてそれに従っていればいい、という仕事ではないんです。自ら仕事を見つけていかなくてはいけない。議会でも限られた時間の中で、責任のある発言にするためには、裏付けの調査や勉強が必要になります。良くも悪くも記録に残る責任のある仕事であり、『自由度が高い分、責任も重い』と感じています。

—私は以前、新聞記者をしていたので、共感する部分があります。最低限やるべき記事を書いたらあとはその人次第というか、調査報道のために文献を調べることや特ダネのために多方面で人と関係をつくることに時間を使ったり、と。石津さんのウェブサイトの活動報告を拝見していると、ちょっと時間が空いたから、展示会を見に行った、というような話がよく出てきます。議員として大事にしているポリシーがあったら教えてください—

やっぱり小平の課題に関係するものに関しては、常にアンテナを張っていたいと思っています。展示会なども、テーマが関係していれば必ず小平市に持ち帰れるものが1つは必ずあるんです。また、所属している会派を通じてなど視察に行き、その良さをしっかり吸収することで、小平の課題解決にどうつながっていくのか、議会での発言に重みが出てきます。

アンテナを張るという点で言えば、「こういう点に困っている、もっとこうだったらいいのに」という市民の皆さんの声を聴くこともそうです。そうした声をしっかり聴き、代弁して小平市という行政に届けることが市議会議員の存在意義だと思っています。やっぱり市民の方が直接、行政に伝えるというのはとても勇気がいるし、わざわざ電話をするのもハードルが高いと思います。しかし、小さな声を集め、それが集合としての市民の声だと議員が伝えることで行政も動いていきます。

—市議会議員というのは、広告の世界で例えると、ある種のエージェント(代理店)のようなものなんですね!気難しいクリエイターにクライアントが直接指示するとうまくいかないことも多いですし、その逆でクリエイターがこうしてほしいという要望も広告クライアントに直接だとこじれたりする。エージェント(≒議員)がある種の潤滑油として機能することで、みんながハッピーになるのは政治の世界も同じなのですね—

—石津さんの経歴の中でユニークなのは大学時代にディズニーシーキャストをされていた点かと思います。政治家として何か今に通じているものはありますか—

ディズニーはホスピタリティという考え方を大事にしています。これは、ゲスト(=お客様)が言う通りのサービスをすればよいということではありません。印象的だったのは上司から「ゲストが喜んでくれる、と思ったら何やってもいいよ」と言われたんです。喜んでもらうというのは定型的なものではなく、ゲストが何を求めているんだろうか、何をしたら喜んでくれるのかを考えて、観察して、先回りして何をして差し上げられるのかを考えるというのがホスピタリティです。例えば、ちょっとした会話の中でお誕生日が近いということを聞き出せたら、すぐに無料で渡せるバースデーシールにさっとメッセージを書いて渡す、ということでとても喜んでもらえたり、一つ落とし物をお返しするにしても何かエンターテイメントを仕込んだりと。

先ほど議員はエージェントという見方をしていただきましたが、私はディズニーでいう、キャスト(≒議員)とゲスト(≒市民)の関係で捉えています。だからこそ、感動していただけるサービスのために、観察力や気づく力とそれを実践する必要があるので、先にお伝えした通り、アンテナを張ることを大事にしています。

5.2023年の選挙でトップ当選となった期待をどのように受け止めているのか

—石津さんは現職として迎えた2023年の小平市議会議員選挙でトップ当選しました。多くの人から期待を寄せられている証だと思いますが、どのように受け止めて今後行動していきますか?—

2023年の選挙でトップ当選を果たしたとき、私は本当に驚きましたし、ありがたい気持ちでいっぱいでした。選挙期間中、さまざまな方とお話しする機会がありましたが、その中で感じたのは、多くの市民が現状に対して何かしらの不満や不安を抱いているということでした。『今の小平市を変えてほしい』『もっと良くしてほしい』という期待が私に寄せられていると強く感じました。

その期待に応えるために、私は今後も『おかしいことをおかしい』と声を上げ続けたいと思っています。例えば、職員の給与の問題や防災の備えについて、これまで表に出てこなかった課題をしっかりと追求していきたいです。市民の皆さんが『変わったな』と実感できるような変化をもたらすためには、地道な取り組みが必要です。

議員になったからといって、すべてを一気に変えることは難しいかもしれません。しかし、小さな変化を積み重ねていくことで、大きな変化につながると信じています。私の役割は、市民の声をしっかりと聴いて、それを行政に届けることです。そのためには、市民の皆さんとの対話を大切にし、常に現場の声を聞く姿勢を持ち続けることが重要だと考えています。

また、私は議員として『身近な存在』でありたいと思っています。議員は遠い存在ではなく、市民の皆さんが気軽に相談できる相手であるべきだと思っています。そのためにも、私自身が市民の皆さんにとって、いつでも声をかけやすい存在であり続けたいです。例えば、日常的に行っているブログやSNSでの情報発信もその一環です。私が今、議会で何をしているのか、市民の皆さんに知っていただくことが大切だと感じています。

選挙で寄せられた期待に応えるためには、まず市民の皆さんが『変化』を実感できることが重要です。例えば、防災の取り組みや、動物愛護の進展など、具体的な成果を見せることで、『石津がやってくれた』と感じていただけるようにしたいです。そのためには、少しずつでも着実に成果を積み重ねていくことが必要です。

議員としての役割は、単に政策を推進するだけでなく、市民の皆さんと一緒に街を作り上げていくことだと思っています。私が議員として取り組むべきことは、常に市民の声に耳を傾け、その声を行政に反映させることです。それが、私に与えられた使命だと強く感じています。

今後も、市民の皆さんと共に小平市をより良い街にしていくために全力で取り組み、皆さんが『この街に住んでいて良かった』と感じられるような、そんな街づくりを目指していきます。

(インタビューを終えて)
—本日はお忙しい中、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました!石津さんのお話を聞いていて印象に残ったのは、「社会をより良くするやりがいのある仕事として、政治家という仕事を魅力あるものだと若い人に発信していきたい」と語っていた点でした。偉大なことをしたい、というのではなく、小平市を少しずつ改善する取り組みを積み重ねて「あの人にできたんだから私にもできる」と次世代の若者が思えるようなロールモデルになりたいとも語っていました。基本に忠実で、努力家な石津さんは今後ますます注目です—

聞き手:Sudare inc.